会社の制服を着た彼女を見つけたのは深夜の空港だった。管制塔の下を歩いて いた彼女は、100メートル以上離れたマスト車に乗っている工藤知里に気づく と、まっすぐに見つめて笑いかけてきた。いきなりのことに驚く知里が我に返 ると、管制塔の下には誰もいない。この空港に会社の制服を着た女性は、知里 の他にいるはずがない。――あれは、誰なの。 「ストレンジャー・ヒアー」 授業中の校舎の屋上。気分を悪くして教室を抜け出した森大は、仰向けに転がっ て青い空を見つめていた。だが、気分は最悪。頭痛が響き、肌からは冷や汗が 吹き出し、傍らには嘔吐物の水たまり。倒れていた彼に声をかけた少女、彼女 が着ていたのは、見覚えのないセーラー服だった。 「stray sailor, sweet cigar.」 春先の蒼天の下、時代錯誤気味な長ランの一団がトラックを汗だくになりなが ら走らされていた。時代錯誤の声を団長の百瀬馨は一言で斬る。「伝統である」 と。ようやくノルマを走りきり、息も絶え絶えになっている一年の一群の中に、 赤城雄馬は居た。そして彼は、団長の語る「伝統」の重さと使命を知る事にな る。 「斗え! 殴援団」 今を遡ること三十余年、度重なる闘争の果てに勝ち取られた制服着用義務撤廃。 しかし今の生徒会長は頑なにセーラー服を着続けていた。「あの堅物にどんな 服を着せたらおもしろいと思う?」ふと発せられたその一言を発端として、寺 島由嘉里は妄想と陰謀と因縁と自作自演が暗躍しながら錯綜する騒動に巻き込 まれる事になるのだが…… 「セーラー服を脱がさないで」 とにかく制服ずくしの四編を収録!
作者 | 作品名 | 挿絵 |
まるやま なおゆき | ストレンジャー・ヒアー | 東2 |
白霧草 | stray sailor, sweet cigar. | − |
広沢りょうた | 斗え! 殴援団 | 大村勇 |
早坂千尋 | セーラー服を脱がさないで | 村山慶 |
オフセットA5サイズ |
表紙デザイン:村山慶 |
総項数:88ページ |
価格:600円 |
発行:Progressive |
発売:ジャンク・ヤード |
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